ジャスティテイカーの憂鬱

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 彼女は商店街近くにある小さな公園にいた。住宅街の小さな交差点のちょうど角にあり、見通しは悪くない。真横には民家があって、逆に見張りづらかった。  ベンチに腰掛け、膝の上には小さなランチボックスを置いている。 「昼飯か……」  本当に小さな公園だった。砂場と滑り台、そして半球状の中に入って遊ぶような遊具。施設はそれぐらいだった。茂みも人を隠せるほどの高さも深さもない。仕方なく少し離れた場所で、彼女の死角に入るように陣取って、見守る事にした。  ちょうどその時だ。公園の近くを通っていたお年寄りがつまずいて転んだ。  助けねば、と思った瞬間時にはクレオライナが先に動いていた。ランチボックスをベンチの上に置き、おばあさんに駆け寄ったのだ。 「大丈夫ですか?」  そう言いながら傍にしゃがみ、立ち上がるのを手助けまでし始めた彼女の顔は、とても悪の組織に所属する女には見えなかった。 「おうち、どこですか? この近く? じゃあ、私が荷物を持ちます」  そう言って、彼女はおばあさんとともに歩き出した。  今しかない。俺は公園に駆け込み、半球状の遊具の中に飛び込んだ。ベンチから体が見えぬよう位置取り、そのまま彼女の期間を待つ。今までに比べたら、破格の近距離だ。これなら何か喋っても聞こえるかも。
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