お金と狐

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 支払いを終わらせてコンビニを出て伸びをする。どこに行こう。とりあえず近くの川の河原を歩いてみようかと思ってそっちに向かう。すると狐が話し始める。いつもは通らない細い道を行ってほしいらしい。そっちに行くと河原にはなかなかたどり着けなくなりそうだけどなんかそっちがいいらしい。探検みたいでわくわくしてきた。  探検って思い浮かべて何か記憶に引っかかるものがあった。そういえば昔、小学生かその前かくらいに探検しなかっただろうか、近所の子たちと。そうだ、探検して、はぐれて、迷子になって、そうしてよくわからないとこにたどり着いて、そう、ちょうどこんな風な。考えていると目の前が開けて石畳の道、その先に神社のような建物があった。  ようこそおいでくださいました。脳内に声が響く。この狐の声かと思ったけど、なんか違う。もっとしっかりした、うまく説明できないけれど、違うことはなんとなくわかるような。右手に向かう。そちらだと思った。綺麗な、綺麗という表現しかできない何かが立っていた。お久しぶりです、その子を連れてきてくれてありがとう。そう聞こえたと思ったら狐がウエストポーチを飛び出してそちらに向かう。  まあ、この子はずいぶん寝ていたようですね。言葉の意味はわからないけれど何故だかそうなのだろうと思う。あら、この子が食べてしまったものはお返ししておきますね、ありがとうございました。そうして私は気が付くと家の前にいた。鞄の中にはお金とキノコ。家に入ってスマホを確認すると支払いは終わっている。  キノコはとりあえずプランターに置いとくとして、お金はどうしよう。こういうのってどこで売れるんだろう。私の手には小判が一つ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加