厚化粧

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母が化粧に時間がかかるのは肌を整える事に時間がかかるのだと自分が化粧をする様になってわかった。 母は若い時からニキビ跡や肌荒れに悩み決してきれいな肌ではない、私は母の体質に似てニキビに悩まされ続けた。それは大人になっても続いた。 社会人になり化粧が義務みたいになった今では母と同じ様に肌を整える事に時間を費やしている。 姉は父に似てそんな悩みはない。 ただ姉が私に言ってくれるのは 「梨央はお母さんに似て髪の毛綺麗でいいね」 と慰めにしか聞こえない誉め言葉を言ってくれている。 確かに学生時代から友達にも髪の毛は羨ましがられていた。 だからせめてもと髪の毛だけは綺麗を維持しようと美容雑誌を見てはファッションビルの中の流行りの化粧品を扱うストアに通いつめ自分に合うヘアケア商品を探り続け、その為に働いているのかと思うほどお金をつぎ込んでいた。 でも毎朝出勤すると同期の北本君が髪の毛ではなく 「おはよう!今日もバッチしメイク!仕事やる気満々じゃん!」 と化粧の事で何かしら絡んで来る。 私はそれを聞いて 「よし、今日の化粧も成功!」 と心の中で呟いていた。 自慢の髪の毛ではなく化粧の方に気が行っていた。
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