空間を除菌しようとする製品について

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空間を除菌しようとする製品について

 突然ですが空気清浄機はお持ちでしょうか。我が家にも花粉対策としてかつてありましたが、使わなくなって幾星霜、結局数年前に処分されてしまいました。  今般の世情に鑑みてか、空気中の細菌やウイルスを除去するという製品のCMをよく目にする気がします。  こないだはうちの地方放送局が、アメリカ発の空気清浄機が遂に日本上陸、というCMを永遠と流していました。商品名は忘れてしまいましたが、何やらスゴいらしく、なんと揮発した有機溶剤まで除去できる優れものなのだそうです。  確かサンテレビだったと思うのですが(違ったらごめんなさい)、これは何のために宣伝しているのでしょうか。  当たり前ですが、一般家庭で有機溶剤は揮発していません。あってアルコール、正確にはエチルアルコールとか、あとはガソリン。有機溶剤には他にはエーテルやらクロルやらフェノールやらありますが、そんなものを置いている家庭は無いでしょう。それを除去できると謳って何とするのでしょうか。  他にも空気を綺麗にするという製品は多く世間に広がっていると思います。15秒間のテレビ広告の中で、外気の混ざった空気には雑菌がいっぱい、という台詞が飛び交っている。どうかしていると思ってしまいます。  玄関を開けたら、窓を開けたら、換気扇をつけたらそれらの製品の効果は瞬く間に無になります。それを避けたければクリーンルームを作るしかありません。  HEPAフィルターを挟んだ外気処理気を導入し、外気が入らないように部屋は陽圧に保ち、隙間風が入らないように気を配る。玄関先で服をコロコロして防塵着に着替え、ヘヤネットと新たなマスクを着用し、エアーシャワーを潜って帰宅する。そんなマイホームを作る方が良いでしょう。  ちゃんと調べたことはありませんが衛生仮説というものもあるそうです。去年だったかのドラマで山Pが事ある毎に唱えていたものですね。  アレルギー反応が、要は人間の周囲が清潔になり過ぎた結果だというあれです。免疫が暇を持て余し、時間の有り余った学生よろしくヤンチャをしでかし、どうでも良い物質を異物、病原体と判定して飛び掛かることによってアレルギーを発症する。  この仮説の有効性が幾何(いくばく)なのか、判断材料たるものを持っていないので何とも言えませんが、これが真実ならば滅多矢鱈と空間除菌をするのはよろしくないということになります。まぁ、もし間違いだとしても、その汚いという空気の中で人間は繁栄を謳歌してきたのですから、そこまで過敏にならなくても死なないわけですが。  因みに今回のコロナウイルスは急激に症状が悪化しますが、その原因は免疫の過剰反応だという話があります。サイトカインストームと言うそうです。今調べました。  衛生仮説の方もちらと調べてみましたが、あまり関係なさそうです。コロナの重症化とアレルギーには関係があるのでは、と思ったのですが、ありませんでしたね。  しかし気を取り直して。  だらだらと書いてきましたが、空間除菌、空気清浄は今回のコロナウイルスにはあまり効果はないでしょう。何故なら空気感染しないからです。基本的に飛沫か接触、たまにエアロゾルというのは以前も書きましたが、基本的に空気中に居ないヤツのために空気に綺麗にするのも変な話です。  なので、コロナ対策として行うならば窓を開けて換気をする方が費用もかからず、尚且つ効果的です。なので春の終わりを感じつつ、花粉を目一杯家に取り込むことをオススメします。
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