味覚テスト

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味覚テスト

 新型コロナウイルスに罹患すると味覚障害の症状が現れるそうです。それがどれ程のものか、想像することもできませんが、自身の味覚を確認することはできます。  それが味覚テスト。正確には味覚パネルテストや五味試験と言います。食品会社の開発部門なんかでは一般的かもしれませんが、要は確かな舌を持つ人を選抜し、製品の良し悪しを味で判断する、官能検査のためにあるものです。  皆さんお忘れかもしれませんが(或いは読み飛ばしているかも)、私は食に関する仕事をしています。実はこの味覚テストに関しても担当したことがあります。  というわけでこの味覚テスト、おうちでも出来る部分があるのでご紹介します。お子さんがいらっしゃるのであれば、一緒にきゃっきゃうふふとお楽しみいただければ幸いです。  味覚には五味あります。甘味、旨味、苦味、塩味、酸味ですね。このテストでは、これらの基準となる濃度の味が付いた水を用意し、さてどれがどの味でしょう、と当てる方式になっています。  この中で旨味はグルタミン酸ナトリウム、苦味は硫酸キニーネ、酸味は酒石酸を入れるのですが、これらは恐らく手に入らないと思います。グルタミン酸ナトリウムは味の素でいけるかもしれませんが、他の二つは代用品が見当たりませんでした。なのでここでは甘味と塩味の水の調整だけ記します。  使うのは砂糖(ショ糖)と塩(塩化ナトリウム)です。一般家庭にあるものはもしかしたら純度が低くて適さないかもしれませんが、とりあえずご自宅のそれらを用意しましょう。あと必要なのは計量器ですね。出来れば0.1gまで量れるものが良いですが、無ければやむなしです。  では下にレシピを示します。 ・甘味……水1Lに対して砂糖4g ・塩味……水1Lに対して塩1.3g  ついでに旨味も ・旨味……水1Lに対して味の素0.5g  1Lて…どんだけ検査するんだよ。そう思われたかもしれません。私もそう思います。なので一人100mLとしてもご家庭でされるのなら半分量で十分だと思います。  500mLペットボトルに計量した上の半分量と水を加えれば完成です。出来れば0.1mgまで量れるものできっちり量ってやりたいところですが、そんなもの家庭用には販売されてないので諦めましょう。  一人当たりコップを三個(旨味もやるのであれば四個)用意します。紙コップに数字を書くか、或いは特徴のあるコップを選びましょう。そこへ上の味付き水と、ただの水をそれぞれ入れます。  この時注意しないといけないのは、この準備をしている方はテストを受けられないということです。何番に何の味が入っているか、答えを知っているのだから当たり前ですが、つまりこのテストは一人ではできません。お一人でしようとされていた方がいれば、今更ですがごめんなさい。  なので一人はテストを出す先生の気分で、受験生が分からないと悶々としている様を楽しむ係をお願いします。  あとは紙とペンを用意します。先生役の方はどれがどの味か、或いは無味か忘れないようにメモしておきましょう。  このテストはプロ仕様なので中々の難問です。味が分からなかったといって、直ぐにコロナ感染を疑うものではありません。  人によって分かりやすい味は違います。私の場合は塩味と旨味はラクショーだったのですが、甘味は最初分かりませんでした。一番難しいと感じたのは酸味ですが、甘味はその次に難しいと思います。  このテストは受け続ければそのうちに味を覚え、回を重ねる毎に鋭敏に分かるようになります。なのでコロナ対策として扱う時は、今まで分かっていた味が急に分からなくなった場合に限ります。  初めて受けて分からなかった、何度受けても分からない場合は参考にならないので気に留めておいて下さい。  なお、このテストで味が急に分からなくなったからといって、その原因がコロナであるとは限りません。あくまでご参考なされて下さい。  (追記)  私としたことが書き忘れていました。このレシピで作成した水は保存が利きません。冷蔵庫保存でもで24時間以内に使い切る方が良いと思います。大量に作らせておいて今更何言いやがる、という気分にしてしまった方がいれば申し訳ございません。  しかし、冷凍保存なら行けると思います。ただその際は、水は凍結すると膨張することを考慮しなければなりません。ペットボトルなら少し凹めて置くと良い気がします。  また解凍時には濃度に偏りが出来ていると思いますので、しっかりと混和すると良いと思います。
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