0人が本棚に入れています
本棚に追加
もう、今日は少し呑み過ぎた。もうすぐ、片想いだけど大好きな人の誕生日。
たとえ呑み過ぎたとしても、もう少し起きていたい。することはもう決まっている。
プレゼントを買うこと。それだけだ。よく行く馴染みの店に足を運んで買おうとしたが、それだと贈り物の相手を気にされる。ネットショップに駆け込むことにした。
何が好みなのかは、リサーチ済みだ。その中でも、よく使ってもらえそうなハンカチと文房具にした。カゴには5点も入っているそうだ。合計金額は五千円。意外とするんだな…と思いながら、会計ボタンを押した。
翌朝、目が覚めると、ソファーの上に横になっていた。どうやら、そのまま、寝落ちしてしまったみたいだ。
着替えをして、顔を洗って、スマホを起動した。スマホもソファーの上にあった。
その時、美咲から『ねぇ、明日何時からがいいと思う?』とメッセージが入った。美咲と、何しようとしてたんだっけ…と考えて、新しいメッセージにハッとする。
『綾は何が好きか、教えてくれるんでしょ。一緒にプレゼント買ってくれるんでしょ。』
そうだった。私はつい最近…。
私が大好きな彼は、馬渡場綾は、親友の美咲に恋をしていたのだ。付き合い始めたって話聞いたのにな。その後、呑みまくった所為ですっかり忘れてしまっていた。
失恋したのに、呑みまくって忘れて…。なんて情けないんだ、私。
ポッポ、ポッポ、ポッポ。鳩時計が、音を立てた。午後2時を針は指している。どうやら、深く寝入っていたようだ。
あんだけ飲んだ所為か、頭が少し痛い。二日酔いだろうか。そんなにお酒に弱くはなかったはずなんだけど…と少しがっかりした。
もう一度ソファーに横になろうか迷っていると、
ピンポーン。
インターホンが鳴った。出てみると、宅急便だった。昨日買ったものが届いた。
押印をして、受け取って中に入るとすぐに、美咲に返信をした。
『綾にぴったりのやつ選んだから、包装してプレゼントしな。ごめんね勝手に。両親が具合悪くなっちゃって。私の家の前に下げておくね。』
私は実家に帰省することにした。
この恋を忘れるために。プレゼントを無駄にしないために。
最初のコメントを投稿しよう!