誕生日プレゼント

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 もう、今日は少し呑み過ぎた。もうすぐ、片想いだけど大好きな人の誕生日。  たとえ呑み過ぎたとしても、もう少し起きていたい。することはもう決まっている。  プレゼントを買うこと。それだけだ。よく行く馴染みの店に足を運んで買おうとしたが、それだと贈り物の相手を気にされる。ネットショップに駆け込むことにした。  何が好みなのかは、リサーチ済みだ。その中でも、よく使ってもらえそうなハンカチと文房具にした。カゴには5点も入っているそうだ。合計金額は五千円。意外とするんだな…と思いながら、会計ボタンを押した。    翌朝、目が覚めると、ソファーの上に横になっていた。どうやら、そのまま、寝落ちしてしまったみたいだ。  着替えをして、顔を洗って、スマホを起動した。スマホもソファーの上にあった。  その時、美咲から『ねぇ、明日何時からがいいと思う?』とメッセージが入った。美咲と、何しようとしてたんだっけ…と考えて、新しいメッセージにハッとする。  『綾は何が好きか、教えてくれるんでしょ。一緒にプレゼント買ってくれるんでしょ。』  そうだった。私はつい最近…。  私が大好きな彼は、馬渡場綾は、親友の美咲に恋をしていたのだ。付き合い始めたって話聞いたのにな。その後、呑みまくった所為ですっかり忘れてしまっていた。  失恋したのに、呑みまくって忘れて…。なんて情けないんだ、私。  ポッポ、ポッポ、ポッポ。鳩時計が、音を立てた。午後2時を針は指している。どうやら、深く寝入っていたようだ。  あんだけ飲んだ所為か、頭が少し痛い。二日酔いだろうか。そんなにお酒に弱くはなかったはずなんだけど…と少しがっかりした。  もう一度ソファーに横になろうか迷っていると、  ピンポーン。  インターホンが鳴った。出てみると、宅急便だった。昨日買ったものが届いた。  押印をして、受け取って中に入るとすぐに、美咲に返信をした。 『綾にぴったりのやつ選んだから、包装してプレゼントしな。ごめんね勝手に。両親が具合悪くなっちゃって。私の家の前に下げておくね。』  私は実家に帰省することにした。  この恋を忘れるために。プレゼントを無駄にしないために。
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