ガツンと一軒家!

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「い、一体全体…これはどう言ったカラクリなんですか…!?」 俺はカメラを支える腕が震えている。 声も上擦っているのを自覚していた。 「ああ、勿論これには訳があるのさ。 ここはバブル時代に土地開発に失敗し、手放された荒れ地だったのさ。 地主が手放した土地を市が買い取ったんだが、 眠らせて置くには勿体無いからと 永住するってのを条件に格安で売り出したと言う寸法だ。」 男は手柄とばかりに自慢を始めた。 ただし、荒れ地のままスタートして木々を伐採して人が住まう事の出来る環境にする所から全て自力でしなくてはいけなく、時間と体力を割かねばならず、当然ながら重機などを借り出した出費が別途発生した事なども話してくれた。 費用は土地代だけなので、家もまた自分で建てなくてはならず。 山頂に見えるこじんまりとした個人の仮住まいは文字通り小屋なのだと。 小屋であれば狭くとも彼が一人で寝る分には問題ない。 値段も6万円程度で、素人でも一日で作る事が出来たそうだ。 「ガスと電気は通っていないが、買い置きしたソーラーパネルを繋いで蓄電している。小屋の照明やテレビと冷暖房の電力元となっている」 男は続ける。 山を下って川で釣りをしたり、 釣った魚を食べたり村まで売りに行ったりと。 そうして野菜や果物の種を買ったり物々交換して行ったそうだ。
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