ガルボの葉書き

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翌々日になってもシルビアから連絡がないので、アーサーはガッカリしかけていた。 3日目、家に帰ると葉書きが来ていた。 グレタ・ガルボのポストカードで、シルビアからだった。 『4月15日、16時に聖ステーフェン教会で。 シルビア・バレーラ』 15日(金)とは明日だ。 「やった!」 思わず歓喜の声を上げるアーサー。 「ありがとう、グレタ!」 葉書きのガルボにキスをする。 明日が待ち遠しかった。 78193f56-3077-45e2-9a8d-627722ba4709 町のシンボル、聖ステーフェン教会の建設は13世紀後半にケルン大司教によって始められた。 見どころは大オルガンだ。 ナイメーヘンでは、プロテスタントがカトリックを抑圧するほど勢いを増した。 このためスペイン国王(カトリック派)から目の敵とされ幾度も包囲される。 当時のオランダはハプスブルク家スペイン王国の支配下にあり、反乱を起こし八十年戦争に突入していた。 こうした背景があり、教会は未完成のまま、プロテスタント教会になったりカトリック教会に戻されたりする。 このような状況のナイメーヘンをオランダの総督マウリッツ(プロテスタント派)が1591年に奪還する。 これを機に聖ステーフェン教会はプロテスタント教会に変わる。 八十年戦争が終わって独立したオランダに、今度はフランスのルイ14世が侵攻して来る。 1672年から1674年にかけて、ナイメーヘンはフランス軍に占領される。 このとき教会は一時的に、ふたたびカトリック教会として使用された。 1810年以降、教会はナイメーヘン改革派教会の所有となり、塔については自治体が保有して、現在に至る。 bf7f5e01-dc1c-4ae6-9235-eabf24abd105
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