文通

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早速シルビアに手紙を書き、差出人を”イブリン・ローゼンベルク”名で出した。 イヴィのもとに返事が届いたのは7日の土曜日だった。 電話で知らせると、アーサーが自転車で飛んできた。 玄関先で開封して手紙を読むアーサー。 イヴィも何と書いてあるのか気になって仕方なかった。 「・・・どう・・・?」 読み終わると手紙をイヴィに手渡す。 「読んで良いよ。」 『母と姉に男の子と会うのは禁止されている。』 『デートもお酒とタバコ同様、16歳まではダメだと言われている。』 『手紙も電話も良くないと言われている。』 という内容だった。 「厳し過ぎない?過保護だわ。」 「うん・・・。」 俯きがちなアーサー。 「でも、彼女の気持ちは書いてないわ。嫌ではないんじゃない?」 「そうかな・・・?」 「もう一度、手紙を書いてみたら?確かめなくては。」 「でも、何て・・・?」 「迷惑じゃなければ手紙を書きたいって。」 「うん・・・、書いてみる。」 「届いたら直ぐに連絡するわ。」 「ありがとう・・・。」 少し肩を落としたアーサーは手紙を持って帰って行った。 5月11日(水) 家に帰ると、シルビアからの手紙が届いていた。 直ぐにアーサーが取りに来る。 「やった!」 手紙を読みながら声を上げるアーサー。 良い知らせらしい。 「何て・・・?」 「『手紙は嬉しい』って。」 「良かったわね!」 イヴィもとても嬉しかった。 「ありがとう!イヴィのおかげだよ。」 イヴィは嬉しそうなアーサーを見て、少しでも役に立てて良かったと思った。
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