ほぼ変わらない……けど

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 親に泣きついて電話をして気を紛らわせるしかなかった。  旦那自身の口から『俺が可哀そう』、という状況を理解させ、言わせないかぎり、娘を連れ回すのだから。  ちなみに、娘は私と同じ、引きこもり大好き体質で、コロナは危ないと理解している。  旦那の休みになると、私でも娘でもなく、旦那のストレスに振り回されて言い合いの喧嘩になる。  理解力のない旦那に、『コロナ・危ない・マスクしろ・家にいろ』というよっつの言葉を教えることも出来ない状況だった。 日本経済が破綻するとか、誰かがどこかで死んでいるとか、どこか支離滅裂なことを言いだす。 旦那の話を聞いていると、未来への不安が私より大きなことが分かった。 私は今の執筆業がダメになっても、専業主婦に戻るだけ。でも旦那はもしも仕事を失えば再就職はほぼ不可能という年齢になっているし、家のローン、私たちの生活、娘の人生などなど。それらが追い打ちをかけているらしい。 仕事柄、リストラということはないと思うけれど、さすがにこの状況では色々と考えるのは当然だと思う。 でも、旦那の不安は自分以外の助けられない誰かの悩みまで膨らんでいて、目の前の家族は無視だった。 その考えはちょっとやばいんじゃないの? というのに気が付いたのが、昨日。 例えばだけれど、地球の反対側で起こっている経済危機の不安や、日本が今後どうなるかも分からない漠然とした不安に対して、何も出来ないと嘆くことに何か意味がある? とさとした。 「その未来への漠然とした不安は、コロナにかからずに健康に生きていたらひとつひとつ解決していけばいいものだよね? どうして今から不安に思う必要があるの?   今できることは、家で自粛活動してコロナを蔓延させないことだよね。それのみ、じゃない? 経済が心配なら、できる範囲でお金を使うしか出来ないでしょう? 家のわずかな貯金全部使って、どこかの誰かの人生が救えると思う? ○○ちゃんの学費使ってまでしてね?」  という話をしたら、ようやく旦那が落ち着いてきた。  悲しいけれど、弱者に対して手を差し伸べる余裕がうちにはない。  ただ、最近買った財布のブランドには、売り上げの一割を、コロナによって貧困や暴力に遇っている女性の為に使うと書かれていたので、どこかほっとした。  日本ではどこかそういうことをやっているブランドはあるのかなと。  活動がないなら、売り上げの一割が自動的に誰かの助けになる仕組みになるということにも目を向けて欲しいなと思った。
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