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男
その日の休日は僕は、家に居て、妻はお気に入りのジャムを作ったり、裁縫をしていた。
僕はというと、妻に頼まれた洗濯をして、トイレの電球を交換したあと夕御飯を食べて夫婦二人で寛いでいた時だった。
ピンポーン
突然、チャイムがなった。
僕が出るよと妻に言い、玄関のドアを開けた。
人が来る予定もないのに、誰だろう。
開けてみるとスーツを着た男が立っていた。
「こんにちはー僕、オモチャを売って歩いている者ですー。少々お時間、頂けませんでしょうかー?」
なんだ、セールスマンかと思い、胸を撫で下ろす。ホラー映画を妻と見ていたので、ちょっとドキドキしてしまった。
今頃は妻がホラー映画をリビングでゆっくりと見ていることだろう。
僕も早く行って見ないと、見のがしてしまう!
ここは早く終わらせよう。
「すみません、今取り込み中なので」
「いやいやすみません、少しだけでも」
「オモチャなんていりません」
「実は、子供のオモチャじゃないんですよ。大人向けのオモチャなんです」
今度は声を小さくして変な事を言い出した。
「なんですか、そんなものを売り歩いてるんですか」
「そうなんです。売れなくて困ってるんですよ、お話聞いて頂くだけでもお願いします」
そんなもの売り歩いても売れる訳がない。
僕は呆れたがうっかりドアを開けてしまった。
「ありがとうございます」
しまった上がらせてしまった、と思った時にはもうすでに、玄関先で話を聞いていた。
「どうですか、奥様とはどんな感じですか?喘いでくれますか?」
「いやぁなかなか思うようにはなかなか、声をあげてくれなくて」
お互い内容が内容なので、妻に聞こえないように小声で話す。
その時!
「キャアアアアアア」
リビングの方から悲鳴が。
「なんですか?大丈夫ですか?」
今の悲鳴を気にしているようだ。
「ああ、大丈夫です。ホラー映画がクライマックスなようです」
「ああ!ホラー映画がお好きなんですね。ところで、オモチャなんですがね、こういったものがあるんですけども」
そう急に声を小さくして鞄の中にあるものを大切そうに広げる。
男性向けのオモチャや女性向けのオモチャ、どちらにでも使えるものまで様々だ。
「ああ、これが良いです」
僕はローターと電マと呼ばれるマッサージ機を手に取った。
無論、妻に使うつもりだ。
「はい、では、ご請求額一万円となります。」
結局、僕はローターと電マで一万円支払った。
その日の夜。
「んーんんう」
妻は、縛られ、猿轡され、うめき声をあげている。
僕ははじめて妻に電マを使った。
まあ、妻と言っても、届けを出していない内縁の妻だが。
妻は、僕が26歳の時、僕が誘拐してきたのだ。
妻は14歳の時だった。
あれから、6年が経ち、妻は僕になついてくれている。
もう逃げ出すつもりもなさそうだ。
もうそろそろ買い物に一緒に行っても良いだろう。顔も変わっているだろうし。
「祐子、綺麗だよ僕が誘拐して6年、最初は抵抗していた祐子もなついてくれて嬉しいよ。明日は買い物に一緒に行こうか。」
電マを押し付けられ、ガクガクと痙攣する祐子に僕は構わず言った。祐子は全く聞いていない。
次の日の朝。僕は祐子と約束通り買い物に出た。
「ま、まーくんお願い、これ取って」
泣き声でスカートをずり下げながら言う祐子に僕は無情な一言を突きつける。
「駄目だ、祐子。このままスーパーまで行こう」
ローターを膣の中に入れた祐子を連れて僕達は近所のスーパーに買い物に出た。
用事も済ませ、さて、帰ろうかと言うときに声をかけられた。
「◯◯祐子さんですか?私××警察署のものですが少しお話宜しいですか?」
その時僕は全てを察し、逃げ出した。
少し走ったところで、電柱の影からスーツを着た中年の男が出てきた!
僕の腕を掴み、取り押さえる!
更に出てきた、若い刑事が、僕の眼前に書類を突きつける!
「◯◯真だな!現行犯で逮捕する!17時18分逮捕」
無情にも時間を告げられ、手錠をかけられる。
終わった・・・。
今思えば、あの訪問販売がおかしい。
ローターの中にでも盗聴機か何か仕掛けられていたのだろうか。
真相は僕に知らされる事はないだろう。
その後、僕は妄想と現実の区別がついていないとして、医療刑務所に入れられた。
祐子を本当の妻と思っていたところがあるからだ。
祐子は自分の家族と会えただろうか・・・。
今、幸せだろうか。
祐子、祐子、祐子・・・。
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