窓屋さん

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窓屋さん

「いっちねんせーになったーら、いっちねんせーになったーら」 僕は龍一。今年の4月から小学校一年生だ。 今は3月。お母さんと手を繋いで、幼稚園から帰るところだ。 「うふふ、すっかり一年生の気分ね」 お母さんは気分が良さそう。 僕もお気に入りのお菓子を買ってもらえて機嫌が良い。 「うん!だって僕もうすぐ一年生だもん!あっ!こんなところに道がある!お母さん、行ってみよう!?」 僕は何故かその時、誰も知らない道というのにわくわくした。 誰も通った事がない道かもしれない。そう思ったんだ。 だから、お母さんの方をろくに見もせずに、繋いだ手をぐいぐいと引っ張って行った。 「ねぇ、お母さんすごいね!」 もう少しで路地が終わり、開けた場所に出る、海が見えてきた時、お母さんに話しかけた。 ハッと気付くと、僕はお母さんの手を離してしまっていた。 「お母さん?」 振り返っても誰もいない。 「お母さあん」 そう叫ぶと、 「いらっしゃいまし」 声が聞こえて、少し落ち着いて辺りを見回すと、 小さい露店のようなものが目の前にあるのに気付いた。 あそこにお母さんがいるかもしれない! そう思うといても立ってもいられなかった。 「こっこんにちはー。お母さん居ますかー」 お店の人に聞こえるように大きく言って、お店の中を見回した。 すると、 「うわあ、ここ、何のお店?」
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