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「えーー!!!」
大学内のカフェスペースで、橘が絶叫した。
隣の黒沢ちゃんは、相変わらず無表情だけど美人だ。
「永井ってバイなのっ!?」
一応気遣って小声になる橘は大学で一番の親友。そんな橘と黒沢ちゃんをくっつけたのは、俺だと自負している。
「いやぁ、俺もよく分かんないというか……付き合ったのだって一度きりだし」
ため息を吐き出し、窓の外のポプラ並木を眺めた。
別に隠していたわけじゃないけど、実のところ……自分のセクシャリティがよく分かってないのだ。
そもそも女の子が大好きだし。
だけど男性に対して抵抗が無かったってのも事実。
そのきっかけは、中学2年の春。
初めてそういう対象として、男性と付き合ったのだ。
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