奈津の娘…奈月

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 奈月の話しでは奈津は10年前にガンを患い治療を受けていたと言う事。  治療してもガンの転移が多々あり繰り返し治療を受けていたと言う。今は痛みを薬で抑えていて、いつ亡くなってもおかしくない状態だという事。  その奈津が「大好きで今でも忘れられない人がいる」「会いたい」と奈月に話していたと言う。  泣きそうになりながら、奈月は一生懸命に話してくれた。  もしかして最後に会った時には、病気が分かっていたんじゃないか? だから…10年後…会えるかな? なんて言ってんじゃないか?  俺が考え込んでいると、奈月が俺の目の前に封筒を差し出し、見てほしいと言った。  封筒に入っていたのは、太陽が海に沈みオレンジ色が広がる海岸で撮った俺と奈津の写真が入っていた。 もう1枚は俺1人の写真だった。 これは…あの時の…写真… ちゃんと撮れてたんだ──  自分は恥ずかしいくらいの笑顔に奈津は切なそうに笑っている。 俺の好きな奈津の笑顔だった。  俺は奈月に「ありがとう」と、その言葉を聞いた奈月は泣いていた。  奈津の想いを必死に伝えてくれた奈月を愛おしく感じ、頭をそっと撫でた。 そして奈津に会いに行く──
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