1章

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「お、すごい。300人も見てくださってるんですね、ありがとうございます。今日はいつもより長めにやろうと思ってるので暇な方はつき合ってください」 そういってまた視聴者からのコメントを呼んでは返事をしていく。 私は特にコメントもせずにご飯を食べながらしょうさんを見ている。 それが一つのルーティーンになっている。 見始めた半年前は時々コメントをしていたのだが、そのときは視聴者の数も10人前後のことが多く、頻繁にやりとりもしていた。 しかし、今では300人近くの視聴者さんがついている。 それに、もともと見た目と声で好きになったのでやりとりをしなくても見ているだけで満足できていた。 今日もご飯を食べたり、ゲームをしたり作業をしたり、お風呂以外のことはすべて終わらせた。 普段なら1時間半から2時間もしないくらいで終わり、私もそれに合わせてお風呂に入り、寝るのが習慣になっていた。 しかし、今日はなかなか終わる気配が見えず、普段やらないコメントにある質問への返答をしていた。 それをただただ眺めるだけでも良かったのだが、時間も深くなり視聴者の数も減り、徐々に同じ人の質問ばかりが 採用されるようになってきた。 そこで、ふとコメントをしてみようと思って質問を考えたが特に何も思いつくことがなかった。 質問していた人も徐々にネタ切れになってきたのか頻度も減ってきてお開きの雰囲気になってきた。 「それじゃあ今日はこの辺で終わりにしようかな、もしかしたら明日も配信するかもーよかったら見に来てね。」 そういって手を振りながら配信停止のボタンに手を伸ばす。 数秒後、画面が暗くなり少しにやけた自分の顔が映し出される。 そんな自分の顔に辟易しながら自分のパソコンも電源を落とす。 同時に今週の疲れがどっと押し寄せてきてお風呂も忘れて寝てしまった。
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