アカイヒガンバナ

7/11
前へ
/11ページ
次へ
『悲しい思い出』 『独立』  ……ほら、やっぱりそうじゃない。  彼岸花の花言葉なんて、悪い言葉に決まっている。  何故なら『彼岸』花という名前だから。  彼岸というのは……あの世のことだ。  他の花言葉も一通り見てみるが、やはり出て来るのは嫌な言葉ばかり。  ――もう、帰ろう。  下校時間は辛いけれど、帰ってしまったら別にもう、関係ないし。  そう思い、私はいつも通り下駄箱へと向かった。 「ごめん! 花野さん!」  すると、いつもは『花野』と呼び捨てにし、もっと上から目線な態度の3人組はいきなり私に向かって大声で謝ってきた。 「「「本当にごめんなさい!!」」」  何がどうしたらこんな風の吹き回しになるのか。  いきなり、どうして彼女たちは謝ってきたのか。  ――多分、謝ってる原因はあの『下校いじめ』だよね……? 『――きっと、君の心が変わるから』  私は無意識に、彼の言葉を思い出していた。 「じゃ、じゃあアタシたちはこれでもう帰るからっ! もう何もしないからっ!」  大声でそう言って3人は帰っていった。  3人が帰ったということは……謝ったということは……。 「もう、君は解放されるんだね」 「真藤君……」  後ろを振り向くと、そこには真藤君がいた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加