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怖かったから許して
自分が22歳の頃の出来事。
転職してまだ1ヶ月の頃でした。
今はもう建て替えてしまったのですが、以前の実家は平屋に2階部分を建て増しをした造りとなっていました。1階の仏間が祖父の部屋で、仏間から2階へと上がる階段。上がって引き戸を開けると、六畳二間の部屋が引き戸で繋がっている造りとなっていました。階段上がってすぐの部屋が、当時はもう家を出ていなかった兄の部屋で、奥が自分の部屋になります。
その日、自分は20時頃に仕事から帰ってきて、軽く夕飯を食べ、祖父がもう寝ているようだったので起こさないように静かに自室へと向かいました。その時チラッと祖父の寝顔を見てみたら、気持ち良さそうに熟睡しているようでした。
自室に戻ってからしばらくは、本を読んだりしていましたが、眠気と戦い始めたため区切りをつけて寝ることにしました。どれくらいたったのかその時は分かりませんでしたが、右を下にして寝ていてフッと意識を戻したときに、ガチッと金縛り状態に。これは、若い頃によく起こっていた、疲れきった体を休めたときに起こる金縛りのような現象ではなく、本気のガチッと感が起こりました。
目も開けられない状態でしたが、何故か目を開けて確認をしなければと思い、薄目をなんとか開けてみると、部屋のしきりとなっている開けてあった引き戸の戸口に、人形のぼんやりとした白い影が立っていました。その時は怖いという思いしかなく、「来るな!あっちへ行け!」と念じていました。
しばらくしてフッと体の強ばりが解けたとき、時計を見ると午前0時位。そして、いつの間にか眠ってしまっていたようで、朝方6時前位だったか、母に起こされていました。
そして、祖父が亡くなっているとのこと。
自宅で亡くなったため、救急車以外に警察も来ていて、階下は慌ただしい状況でした。
それからは、取り合えず勤務先であるお店に顔を出して、とんぼ返りで葬儀の手伝いなど慌ただしく、怒濤の1週間を過ごしたのを覚えています。
後で知ったことですが、祖父が亡くなった時間が午前0時頃だったとのこと。
では、夜中見たと思うあの白い人形は祖父だったのだろうか。もしそうだとしたら、悪いことをしたなと反省しています。
お爺ちゃんゴメンね。でも怖かったから許してね。
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