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慌てて追いかけ
「あ、あの阿久津さん 私、悪魔を呼び出すなんて…そんなの出来ませんよ」
と必死に訴えたが、彼女はニンマリ笑いながら
「フッフッフ。間中氏は秘密主義なのだな。 わかっているぞ! みなまでゆうな… しかし今日は協力してもらうぞ !力がみなぎってきておる」
阿久津彩音は興奮したまま小さな体いっぱいで手を広げた。
まいった…話て通じる人じゃない…今まで転校の繰り返しで、空気を読む力は人並み以上に自信はあった、
それなりの距離、それなりの態度を取り誰からも好かれないが、嫌われない人間にはなれていたが
この阿久津彩音は…そんな考えや行動が通じるタイプではなかった。
しかし…ある意味 、羨ましくもある誰の目も気にせず自分に真っ直ぐだ
「あ、あのー阿久津さんは何故 悪魔を呼び出したいんですか?」
「悪魔ではないルシファー様だ」
ギョロりと睨まれ
「すいませんすいません」
と私が謝ると
「昔…我が家に教典があってな」
「教典?」
「…天野氏はホラー漫画だと否定したが、あれは教典じゃ。その教典にルシファー様が書かれておった!天界を追われサタンとなったルシファー様 。その生きざまに我は感銘を受けたのじゃ…それ以来、我はルシファー様復活に日々鍛練を重ねておる」
「へーどんなのですか?」
「フッフッフ 聞きたいかね」
阿久津彩音は振り向くと腕組みし、私は唾を呑み込んだ。
「あらゆる悪魔の本を手に入れ読んでおる。たとえば水木しげる御大の悪魔くん、古賀新一先生のエコエコアザラク、そしてあのトラウマになるだろう藤子A先生のうらみ魔太郎…もちろん修正前のじゃ」
「はあ…」
どや顔で語る彼女は私の冷めた反応に慌てたように
「うっ…他にも魔女の宅急便やブレアウイッチプロジェクトとか怖くて半分も見れなかったが色々ホラー映画から悪魔ジャンルを探し見たり…」
「はあ…」
「あとあと、非情さを手に入れるために、はじめてのお使いを見ないとかオリンピックで応援しないとか、サッカー日本代表を見ないとか…」
ハアハアと追いつめられる阿久津彩音を見て私は我慢出来ずに笑ってしまった
「な、な、な、何がおかしいのじゃ!」
「ごめんなさい。ちょっと、かわいいと思ってしまって」
「か、かわいいじゃと我の辞書から削除した項目じゃ!間中氏 、その言葉は撤回を要求する」
「はい!すいませんすいません」
必死に謝ったあと、振り返った彼女に気づかれずに、クスッと笑みがこぼれた。
なんともかわいい悪魔の修行に思わず笑ってしまったが、
こんな素直に笑ったのは、いつぶりだろう …だいぶ変わった女の子だが、 少し彼女に協力してみようかな。 私はそんな気分になっていた
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