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「いや~、今日もハッピーに溢れてますね~。」
「あの、ちょっと。」
「こんなに街中ハッピーだらけなんてね、お祭りじゃないんだから。あ、そりゃハッピか!なんちゃって!」
「ちょっと、マネージャー!」
たまらず、加奈子がマネージャーを制した。
「いや、こりゃどうも、加奈子さん。ご機嫌うるわしゅう。」
変わらずテンション高めのマネージャーに加奈子は呆れた。
「なにがあったか知らないけど、KYにもほどがありますよ。」
「え?KY?」
加奈子はマネージャーに佐藤の方を見るように言わんばかりに、首をクイッと捻った。
佐藤は仕事の準備も放り出して、椅子の背に萎んだ風船のようにもたれて座っていた。
「あらら。しぼんじゃって。ビーフジャーキーよりシワシワじゃないですか。老け込んでおじいちゃんみたいですよ。」
佐藤は息も絶え絶えにツッコンだ。
「せめて、おばあちゃんと、言え。」
そんな萎んだ佐藤を見てもマネージャーの元気は衰えなかった。
加奈子は尋ねた。
「で、マネージャーは、なんでそんなに嬉しそうなんですか?」
その問いに、待ってましたと言わんばかりのニヤケ顔で、マネージャーが加奈子へ振り返った。
「あ、聞いちゃいます?それ、聞いちゃいます?」
佐藤は心底うっとおしいと思った。
「言っちゃおうかな~。でもな~。」
佐藤はたまらず叫んだ。
「こっちは別に聞きたくないんだよ!」
加奈子は、まあまあ落ち着いて、と、佐藤をなだめながらマネージャーに問いかけた。
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