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「えー、飛躍しすぎですよ。ねぇ?加奈子さん。」
「うーん。飛躍し過ぎ、とは思えない乙女心。」
加奈子は顎に手を当て、隠しきれない本音をこぼした。
マジでー、味方なしかよー、とマネージャーはガッカリした。
佐藤は畳みかけた。
「しかも、そこを指摘されて、でも高い金を払ってるぞ!って威張るなんて、あんた、女をなんだと思ってんの?」
「ちょっと、待ってくださいよ~。スイートピーひとつで、そこまで言わないでくださいよ。」
「スイートピーがどうのこうの言ってるんじゃないの。あんたの贈り物に対する配慮のなさを言っているのよ。」
「だから、配慮してますよ。だって、そのあと、一日十万円で借りたフェラーリでドライブデートするんですよ?」
「そこんところがダメだって、さっきから言ってんじゃん!」
加熱する言い合いを強制終了するように、マネージャーは佐藤の目の前に右手の平をかざした。
「大丈夫です!佐藤さんや加奈子さんは花言葉にこだわっても、彼女はこだわりませーん。もし、スイートピーの花言葉が『今夜のおかずはチャーハンですよ』だったとしても、その後のフランス料理のフルコースで幸せに満ち溢れるんですよ、彼女は。」
言い終わって、マネージャーは誇らしげに胸を張った。ああ、こいつはダメだ、と、加奈子も佐藤も呆れた。
「油断してたら、痛い目見ますよ、マネージャー。」
「油断して、むしろ、痛い目を見ろ。マネージャー。」
分からず屋な人たち、と、マネージャーも呆れ返した。
「もういいですよ。あ、そろそろ私、失礼します。デートなんで。」
チッ、と佐藤は舌打ちをした。
「あ、佐藤さんは、メロンパンでも探して彷徨っていてください。」
「なにをぉぉぉぉ!」
「あああ、佐藤さん。」
再び闇落ちを始めた佐藤に加奈子は慌てた。
「じゃあ、失礼しま~す。」
「ああ、ダークサイドに!ダークサイドに!」
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