86日目

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86日目

昨日から、グループチャットでは合宿の計画で大忙しだった。徳人が調べてくれたオートキャンプ場は安かったけど、夏休み中ともあり予約がいっぱいだった。幸いにも、二十七日と二十八日に空きがあり、日程は強制的にその日となった。 宿泊はテントなので、俺と徳人と安丸家が家にあるテントを持ち寄るということになった。調理に使うバーベキューセットは、徳人が持っているとの事だったのでそれを持ってきてもらうことになった。徳人の荷物量を考えると、俺は当日はまず徳人の家に行って手伝った方がいいかもしれない。 手帳にスケジュールを書いている時、ふとあることに気付いた。そういえば八月は徳人の誕生月だった。二十五日と合宿にも近いし、サプライズとかしても楽しいかもしれない。幸羽と宮下さんに相談してみようと思った時、タイミングよく幸羽からチャットが来た。 「実はね、あっちゃんの誕生日が八月二十九日なんだよね。合宿の時にサプライズとか面白そうじゃない?」 俺は驚いてスマホを二度見した。まさか宮下さんも誕生日が近かったなんて。それに幸羽が同じことを考えていたなんてびっくりだ。 「ホントに?! 実は徳人の誕生日も合宿近くなんだよね。サプライズやろうか!」 「そうなんだ! やろう! 絶対やろう!」 俺たちは早速、徳人と宮下さんを除いた演劇部のみんながいるグループチャットを作り、サプライズの計画を練ることにした。 「ケーキ登場やりたいっす!」 「夏場の屋外にケーキを保管できる気がしないのですが」 「あっ、サプライズってそういう感じ?!」 司くんと江永さんのやり取りを見ながら、何故か提案者の幸羽が驚いている。誕生日サプライズにそれ以外があるのだろうか……。 「幸羽はどんなイメージだったの?」 「もっとドッキリみたいな感じかと思った。肝試しとか」 どういうこと?! 誕生日サプライズで肝試し仕掛けようとするとか聞いたことない……。でも面白そうな事はみんなやりたがる。 「いいですね、肝試し」 「それ面白そう。騒ぐ二人見てるのとか」 「暗くなってきたら肝試しやるって流れにして、二人をペアにして、私たちは先回りしてビックリさせるとかどう?!」 「絶対面白いっすよそれ!」 もはや誕生日という言葉はどこかに消え去ってしまったのかもしれない。二人には気の毒だけど、こうなってしまってはもう止められないので、サプライズの餌食になってもらうしかない。 その後も、ドッキリ企画の話を聞きながら、ふと、幸羽の誕生日はいつなんだろうと思った。そんな大事な日も知らないなんて大変だ。 俺はチャットを幸羽に送った。 「ところで、幸羽は誕生日いつなの?」 「透真は?」 何故か質問に対し質問で返ってきてしまった。 「十一月三十日だよ」 とりあえず返事を送ると、嬉しそうに跳ねるウサギのスタンプが返ってきた。 「え、えっと……幸羽はいつ?」 俺が改めて聞くと、ハテナマークを浮かべたウサギのスタンプが返ってきて 「クイズ、私の誕生日はいつでしょう!」 と送られてきた。なんかこの感覚懐かしい。 「ヒント!」 俺が聞くと、返ってきたのは 「あっちゃんより遅い」 という幅の広すぎるヒントだ。下半期大体全部入ってるんだけど……。 「もう少しヒント!」 俺はそう送ったが、ハテナマークのウサギスタンプしか返って来なかった。これはハードルが高すぎる。名前の時同様、宮下さんに教えて貰えるまで、幸羽の誕生日を知るのはお預けになりそうだ……。
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