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次の日の朝、いつもより早く登校した莉子は、茜の姿を見ると走り寄った。
「おはよう、茜。」
「莉子、おはよう。」
本当はいつ茜の家に行ったらいいのか聞きたいけど、わざとそんな事忘れている感じでいつも通りを意識して隣を歩く。
「そうだ、イベントの打ち合わせなんだけど、今日か明日でも大丈夫かって言うんだけど、大丈夫?」
「今日か明日?」
「うん、急なんだけど……。」
『ヤバイ、髪の毛ぐちゃぐちゃ!!』
莉子は内心すごく焦っていた。
「今日はちょっと無理かも……。
明日なら大丈夫。」
「ほんと?
良かった。
じゃあ明日って言っとくね。」
「うん、お願い。」
莉子はひとまず安心しながらも、自分がちゃんと準備していたら今日にでも会えたのに……と思うと、悔しい気持ちになった。
だけど、持ち前の前向きさで、
『でも大丈夫。
明日万全な状態で会えるんだから、その方が絶対いい。』
と自分に言い聞かせる。
莉子は明るい性格から友達は多い。
だけど心の内を正直に話せるような友達はいないかもしれない。
姉御肌で頼られると頑張ってしまう莉子は、人の悩みを聞く事はあっても自分の悩みを誰かに相談することは無かった。
恋愛についても、「あの人かっこいいね〜。」といった会話は気軽に出来るけど、本当に好きな人の話は今まで誰かにしたことが無い。
だけど今回は、茜にだけは話してみようかと思っている。
茜のことだからきっと莉子に協力してくれる、と、莉子はそのタイミングを見計らっていた。
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