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莉子は飴細工のウサギを眺めながら下村の事を考えていた。
"腐れ縁"と言うのがぴったりな下村。
隣にいるのが当たり前で、空気みたいな存在。
だけど恋人になる事は多分ない。
だって二人はくだらないことを言い合って笑っているのがぴったりで、色恋に発展するような雰囲気は微塵もないから。
莉子は下村を嫌いではないけれど、いつまでも腐れ縁で、つまりは今と変わらずに隣で笑っていて欲しいと思っている。
恋人といういつ離れ離れになるかわからないような関係ではなく……。
だけどああ言ってしまった以上、下村が距離を置いてくれば莉子はどうする事もできない。
「あーあ、禍福はあざなえる縄の如し……か。」
莉子は昔おばあちゃんが教えてくれたことわざを思い出した。
人生は良いことと悪いことが縄をなったように順繰りでやってくるんだって。
だからいい事があれば悪いこともある。
その逆もしかり。
そう言ってたけど、まさかそれが一日のうちにおきるなんて……。
莉子は真っ白な飴細工を眺めながら複雑な気持ちでため息をついた。
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