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水ようかんは好きですか?
「莉子、うちの親が月末の土日にまたお願いしたいって言うんだけど、大丈夫かな?」
高橋茜はお弁当を広げながら新島莉子の表情を伺った。
「いいよ。
どうせ暇だし。」
莉子は迷わず答えた。
茜と莉子は同じ高校に通う同級生。
実家が和菓子屋を営む茜の家の手伝いを、莉子は時々小遣い稼ぎがてらやっていた。
仕事の内容はイベントの手伝い。
茜の家の人はみんな優しいし、まかないもついてバイト代ももらえるので莉子としてもありがたかった。
「時間はいつも通りだよね?」
「うん。
ありがとう。
助かる。」
莉子は、
「どういたしまして。」
と言って微笑む。
だけど莉子にはこのバイトが有り難い理由が別にある。
それはそのお店で働いている職人さんが好きなのだ。
バイトが無くても茜のうちに遊びに行く体を装ってちょくちょく顔を出しているけど、厨房には挨拶程度に顔を出すのが関の山なので、バイトと遊びに行くのでは見られる回数が雲泥の差なのだ。
莉子は心の中でガッツポーズをして喜んだけど、そんな事はおくびにも出さずに会話を続けた。
「じゃあ打ち合わせはいつがいいか聞いといて。」
「うん、わかった。」
学校の帰り道、莉子は嬉しくて思わずスキップしていると、近くを通った小学生に笑われて何事も無かったように普通に歩く。
『ああ……早く会いたいな……。』
莉子ははやる気持ちを抑える事ができずにその場でくるりと回った。
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