軌跡 1

2/40
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
『緊急事態だ! 戦師(いくさし)一同、直ちに執務室に集合!』 午後のおやつをいつメンであるシン兄とアイ姉と自分と、三人で満喫しようかとしている時だった。 何やら穏やかでないケイ兄の声で、城内放送が流れた。 梅雨もあけきった七月下旬。 本日は戦師三人揃っての専門学校への出張稽古だった。 直射日光に散々にギンギンに照らされて今ようやく城に戻り、朝から楽しみにしていたアイスクリームで癒される気満々だったのに……という心の声とは裏腹に。 行くしかない、任務だ。 自分達、これでご飯を食べていることだし。 シン兄もアイ姉も、真面目な顔をして椅子からガタッと立ち上がったけど。 二人して、事前に注いでいたグラスの麦茶を一気飲みしていた。 内心、なんでこのタイミングで召集?! と文句をたれながらも、放送が流れて一分以内に自分達は執務室へ駆けつけた。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!