エピソード0 雨間に死と転生

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エピソード0 雨間に死と転生

ついに追い詰めた。 40歳になる俺の脚には、6階建ての廃ビルの階段は厳しすぎた。 疲労した脚を無理やり動かし、俺はドアを開け、屋上に出た。 そこにはローブを羽織り、奇妙な鳥の仮面をした人物がいた。 怪人『不死鳥』 それが世間での奴の名だ。 鳥の仮面が不死鳥のように見えるだとか、 発見されるのはいつも焼死体だとか、 現場に必ず朱色の羽を残すだとかで、 いつしかそう呼ばれるようになった。 不死鳥なんて幻想的な生き物いるはずもない。 たいそう立派な名前を付けられているが、 俺にとってはただの連続殺人犯に過ぎなかった。 殺した人数は6人、いや、おそらくそれ以上いる。 その中にはあいつも... 何か武器をもっているかもしれない。 俺は奴への憎悪を募らせ、奴に近寄った。 だがこの時、焦りもあった俺は『不死鳥』の恐ろしさを知らずにいた。 奴の名の本当の意味を。
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