思い出

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小さいころから犬や猫と戯れて育った。 幼少から記憶の芽生えた時にはもうすでに大きな犬がいた。 この子がわたしにとっては本来の1代目の犬に当たるのかもしれない。 その子はわたしとよく遊んでくれていて、冬になるとわたしを乗せたソリをひっぱりたくさん遊んでくれた。でも、小学校低学年だったとき、今日もまた犬と遊ぼうと学校からるんるん気分で帰宅すると、いつもそこにいる犬がいない。犬舎は空っぽ。 母に聞いてみると、あの子は遠くのお空にいったのよ と。 母は泣いていたと思う。 その時は意味がわからなかった。遠くってどこだろう。 意味もわからず、遠くに行ってしまったんだ、と悲しくてわたしはずっと泣いた。 高学年になってもまだ母に聞いていた。 遠くに行ったって言ったけど、本当はどこに行ったの? 聞きながらも本当はうっすらわかっていたのだと思うけど、本当のことを母の口から聞きたかったのだと思う。 あんなに仲がよかったのに、もう会えないんだ。という悲しさが延々と付きまとっていた。 その子が本当は天国という遠くのお空に行ったと母から聞いて知ったのはだいぶあとのことだったと思う。
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