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花言葉
「ずっと好きだからな」
なんて言ってたくせに…嘘つき。
あっさり次の彼女が出来た元彼みたいに、私だって次の恋に進みたいよ。
今から1時間くらい前に、私は彼氏と別れた。別れたというか他に好きな人が出来たからって一方的に振られてしまった。
そんな私は失恋の悲しみと怒りを少しでも吹っ切ろうと、今バッティングセンターに来ている。
長いふんわりした髪を一つに束ね、バットをぎゅっと握りバッターボックスへ立つ。
私の隣を利用している恋人達の仲良さそうな雰囲気が、余計に私のイライラを倍増させる。
むしゃくしゃしながら次から次に思いっきりバットを振るけど、全然当たらない。
バッティングセンターに来れば少しはスッキリするかと思ったけどボールに当たらないし、全然ストレス解消できないや。
もう帰ろうかな…そう思った時、網越しに誰かが声をかけてきた。
「僕の合図に合わせてバットを振ってみて」
「え?」
「ボールをよく見て…はいっ」
何だかよく分からないけど、言われるがまま合図に合わせてバットを振ってみる。
すると振ったバットが少しボールをかすめた。
「わわっ、ちょっとボールに当たった」
「またボールが来ますよ…はいっ」
ボールに当たった余韻に浸る暇もないまま飛び出してきた次のボールを目掛けて、今度は思いっきりバットを振り上げた。
カキーンッ
打ち上げたボールは高く遠くまで飛んでいった。
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