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「話を戻しますけど、失恋の理由とか聞いても?」
少し遠慮気味に祐希さんは聞いてきた。
「…他に好きな人が出来て、その人と付き合いたいから別れてほしいって言われた。昨日までは全然別れる素振りとかなくて、今日突然言われたの。何言ってんのって感じ」
「それはまた辛いですね。バッティングセンターでスカッとしたくなるの分かります」
「でしょ?でも、きっと家に帰ったら元彼の事思い出しちゃうんだろうな。なんか癒しがほしいわ」
私はため息混じりで話す。彼の事を思い出しても大丈夫なように、何でもいいから私の心を癒してくれるものが欲しかった。
「癒しなら花とかどうですか?見てるだけで癒されると思いますよ。この通りにあるフラワーショップに寄ってみます?」
「花かぁ。花は好きなんだけど、今の私に花はNGなんだよね」
「どうしてです?」
祐希さんの疑問に、私は立ち止まって答える。
「新しい彼女…ほんわかした雰囲気で、笑うと背景に可愛らしい花がポポポンって咲いて一緒にいると癒されるんだって元彼が言ってた。だから今『花』を見たくないんだ。悔しいじゃん」
「そうですか。あっ駅に着いちゃいましたね」
話に夢中だったせいか、あっという間に駅に着いてしまった。
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