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「あぁー、花梨たちと同じ高校に行きたかったのに!」
帰宅後。ひと言漏らされた美橙の文句に、逆三角の眼鏡をかけた女は眉をひそめた。
「まだ駄々をこねる気かい?」
逆三角の眼鏡をかけた女性は、美橙の祖母。美魔女という言葉は彼女の為にあるのではないかと思うほど、美しい人である。が、性格がきつい。祖母を怒らせれば厄介だ。
美橙は、何でもないと誤魔化した。
「ってか、今日は何で来たの? 今の時期、理事長って忙しくないわけ?」
三月に入ったばかりのこの日。学園の理事長という立場ならば、卒業やら入学やらの準備でクソ忙しいのではないのかと、祖母を鬱陶しそうに見つめる。美橙の祖母は、とある学園の理事長なのだ。
「忙しいに決まってんだろ。そんな中、わざわざ美橙の制服を持ってきてやったんだよ。そんな目じゃなくて、敬う顔をしてくれてもバチは当たらんだろうに……」
祖母は美橙の態度に不満を口にしつつも、新品の制服を差し出した。グレーのワンピースに白いブレザーの制服は、想像していた以上にかわいい。
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