理事長の孫

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 しかし、魔力を持つ家系の子どもでも、持って生まれてくる力量は人それぞれ。親は人並みでも強い力を持って生まれてくる者もいれば、美橙みたいに、祖母が世界一の力を持っていても、何の力を持たずに生まれてくる者もいる。まぁ、魔力が全くないというのも、かなり珍しいが……。  学園では、生徒たちが持つ魔力の力量が、制服のブレザーの色によって分けられているらしい。一般的で大多数を占めるのが、モスグリーンのブレザー。魔力が高い人は紫色で、魔力の低い人はクリーム色。美橙の様に全く魔力を持たない人は白なのだが、学園内に片手で数える程しかいないとか……。逆に、人並み外れた強い魔力を持った人は、黒いブレザーを着ているという。黒のブレザーもレアケースで白と人数に差がない様だ。 「他者の目から、能力が一発で分かるってどうなの? 成績表を背中に貼り付けている様なもんじゃない」  ブレザーの色分けシステムに対し、文句を言いつけた美橙に、じとりと冷たい視線を向けた祖母。 「恥だと言うのなら、懸命に魔力の勉強をして、ブレザーの色をあげる事だね。生まれ持った力の差っていうのは致し方ない部分があっても、訓練する事で魔力はあがる。その家系に生まれた者ならば……」  祖母はまだ仕事があると言い、学園に戻って行った。入学前までに終わらせとけと、美橙に課題を沢山押し付けて……。制服を届けるというのは言い訳で、課題をやらせたかったのだろうと、美橙はひっそり思った。
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