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第二話 はじめての異世界転移
目が覚めるとそこは、見知らぬ場所だった。
ファンタジーの、ゲームとかで出てくる様な場所。
いわゆる神殿の様な場所。
「たしか……オレは、トラックに引かれそうになっていた女性を助けてーー」
そこまで考えて、ハッと気付く。
オレは、やっぱり死んでしまったのか?
そうやって思った瞬間、神殿の中央にある階段の上にスポットライトが当たり、一人の男が現れーー。
「ごめいとぅ!! 一条ハルト君! キミは、死にました! おめでとうー!!」
そう言ってそいつは、どこからクラッカーを取り出しパンッパンッと鳴らした。
「な、なんだあんたは?」
いきなりの事で動揺しているオレと違い、ソイツは良くぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、両手を広げて見せーー。
「どぅーーおもぉー!! 神、だよーぉ! そこのキミ! ねぇ、見てる? 聞いてる? 今日もボクちゃんは、神々しい! そう、神のようにね!」
と言いながら、くるりと回って見せた。
「お、おい! あんた、ホントに神様なのか?」
「そぉーだよ! ボクは神様だよ! 神様の中でもホストの神様っていぅヤツなんだよねー!」
そう言って、額に手を当てて決めポーズの様に、決めて見せた。
なんていうか、いちいちキザなヤツだな。
「ほ、ホストの神様って言うのは! し○や○つきさんとか、○ーランド様とかを言うんだよ! 絶対に、オマエみたいにチャラチャラしたヤツじゃない! てか、ホストのイメージが悪くなるから辞めろ!」
「もうー、キミも連れないなー!
でも、ボクはキミたちが言う所の神様には違いないんだよ? だってほら、トイレにはトイレの神様がいるって言うじゃん?
だから、ホストにはホストの神様が居ても不思議じゃないでしょ?」
確かに、自称ホストの神って言うくらいだけあって顔はめちゃくちゃ美形だ。
しかし、なんか分からないが、コイツを神様とは認めたくはないな。
「で、神様って事はオレはやっぱり死んだのか?」
「そぉーだよ! さっきも言ったけどねー!
キミは、トラックに引かれて……ないね? 飲酒運転の自転車とトラックに挟まれて、若干、十六歳の若さで死にました!
あ、ちなみにキミが助けた女性は無事だよー! 人助けをして間違えて死ぬなんてキミもついてないよねー!」
やっぱりか……。
俺にとっては大した人生じゃなかったけど、人を助けて死んだのならまだ報われるのかもしれない……。
うん?
「今、間違えて死んだって言った?」
「うーん、そうそう! 予定ではキミはあそこで死ぬ運命じゃなかったんだよねー! キミがあそこで格好をつけちゃったからさー! 運命の予定が狂ちゃってー! 本来ならキミはいつまでも売れずにホストして、歳を取ってからはアルバイトで食いつなぎ、八十歳の誕生日に心臓麻痺で生涯独身でーー」
「もう、やめてええええええぇぇぇぇぇーっ!!」
「はい! って言う事でね、時間も押してるし、読者のみんなも待ってるから、じゃんじゃん進めるよぉー!!
キミには、二つの選択肢があるよ!
一つは、天国に行って悠久の時を経て輪廻転生を目指す!
もぉー、一つは姿と形はそのままで異世界に転移して新しい人生を歩む! どっちにする?」
天国に行くか、異世界転移か。
仮に異世界転移なら、今の姿のままで新しい人生を歩む。
それだけは嫌だ。
オレは次こそイケメンに生まれ変わりたいんだ。
なら答えはもう決まってる。
「じゃあ、天国ーー」
「あっ! ご、めーん! さっき天国の管理人さぁんから、電話来て人数が満杯って言われてたんだよね!
ちなみに、地獄に行くっていぅ選択肢もあるけど、針地獄や釜茹地獄とかで悠久の時を過ごす事になるからオススメはしないけどねー!」
「じゃあ、最初から天国の話しをすんじゃねー!!」
まったく、とんだ神様が居たもんだ。
悠久の時を地獄で過ごすなんて、考えただけでも恐ろしい。
てか、それならオレはまたこの見た目で、人生をやり直すしかないのか。
死んでからもこの仕打ちとは、ため息がでるな。
「だけど、キミが転移を望むなら! もぉちろん、ボクの力でキミが望む世界に転移させてあげるよー!
勇者となって魔王を討伐するのもよし!
逆に魔王になって、世界を手に入れるもよし!
剣や魔法を極めて世界を冒険するのもよし!
選択肢は、無限大だよー!」
オレの望む世界ーーか。オレは、知っての通り見た目も体型も残念なヤツだ。
それこそ、中学校時代はいわゆる美少女ゲームを何百本もプレイしたし。
アニメだって数えきれない位見てきた。
だけど、やっぱりオレは普通の青春とか言うモノを味わってみたかったし。
三次元の恋愛とかにも興味があった。
けど、今のオレじゃ高校に行っても中学と変わらない引きこもりな人生が待ってると思ったからこそホストになった。
だからこそ、ホストになっても変えられなかった人生だから。次の人生があるならイケメンに生まれてモテモテになりたかった。
だからオレは、もし叶うのなら。
アニメとかマンガで有る様な、『剣と魔法のファンタジー世界で、美少女ハーレム』を作りたい!
だから、オレはーー。
「あっ、ごっめーん! 時間が来ちゃったみたい! だから、ボクが適当にいい感じの剣と魔法の世界にキミを転移させてあけるね!」
「なっ!」
そう言って、オレの身体はどんどん透けて行く。
どうやら、自称神の言う所の転移とか言うのが始まったらしい。
「じゃあ、次の人生を楽しんでねぇー!
あ、言い忘れたけど言語とかその他もろもろの必要な事は神の力でチャラン♪ってしとくから、キミは自分の人生を好きに生きればいいよー!
じゃあ、ホスト神の加護がキミにあらん事を! まぁたねー!」
「ま、待て!! まだオレは、話しが終わってーー」
そして、オレの言葉も虚しく自称ホストの神様の、ムカつく位にカッコいい営業スマイルを最後に、オレの意識は途絶えた。
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