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「一位ッ!!」
叫んでしまってからしばらくアイフェが固まる。
クスッと軽く笑った少年がしばらくアイフェの仏頂面を眺めていると、彼女は苦い声で訂正してきた。
「……………………二位」
いつの間にか、夜も更けて周囲には誰もいなくなっていた。
明かりの沢山ついた城の中庭に面したバルコニーで、二人が延々と話し続けている。
敬語はアイフェが無理やりやめさせた。
「なぁ、まだやんのか? これ」
「いいから続けろッ! 次の問題だ次ッ!」
はぁ…と、軽く息をついて少年が綺麗な声で続ける。
「ある山で怪物が旅人に尋ねました。『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足になるものとはなんでしょう?』」
「…………」
考え込みだしたアイフェの顔を、少し疲れた顔の少年が眺める。解けるわけがないのだ。
この手の問題は勉強すれば解けるわけではない。各地を巡って様々な謎かけを経験してパターンを知っていて初めて予想がつくわけで…。
と、少年がそこまで考えた時だった。
アイフェが顔を上げて呟いた。
「…………人間、か?」
「…よくわかったな」
少なからず驚いた顔をしている少年にアイフェは軽く笑った。
「ああ。考えてみたらわかった。これで私の勝ちだな」
「ま、待て待てッ!! 一問解けただけだろッ!! それで勝ったとか…」
「なら聞くが、お前は謎かけとその答えを大量に記憶しているようだが、自分で答えにたどり着いたことはあるのか?」
「…………」
黙ってしまった少年にアイフェが軽く笑う。
「だが、悪くはなかったよ。お前の出す問題も、あの語り部の物語も」
「…そりゃ良かった」
若干眠そうな顔で呟く少年にアイフェが軽く訊いた。
「お前はあの語り部と旅をしているのか?」
「ああ。まぁな」
「明日にはまた旅に出るそうだな」
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