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優しそうな女の人の声だった。
ゆっくりと後ろを振り返ると、声色の通り優しそうな顔をした女性が、心配そうに自分を見ていた。
「転んでしまったのね。大丈夫?」
そう声をかけられた瞬間、先程よりも比べられない安心感が襲い、まるで赤ん坊のように泣き出す。
自分以外の人に出会えた。今の恵那にはそれだけで泣くほど嬉しいのである。
「あらあら!そんなに痛いのね。血が出てしまっているわ」
恵那が何故こんなに泣いているのかを、知らないその女性は転んで痛みのせいで泣いているのだと勘違いをしている。
「そんなに泣かないで。私の家で手当てをしてあげるわ」
そう言って、手を差し伸べられた。
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