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ぐすんぐすんと泣きながら、差し伸べられた手を取り、彼女に手を引かれるまま歩く。
しばらくすると、小さな家の前で足が止まる。恐らく彼女の家に着いたようだ。
「さぁ、入って」
促され家の中へと入ると、日本とは少し違う造りの部屋だった。ただ今の恵那には、それを観察する余裕などなく、言われるがままに椅子に座り、擦りむいた傷の手当てをされる。
水分を含んだタオルで傷口を優しく拭かれ、何か塗り薬のようなものを塗られ、包帯のような布を巻かれた。
「はい、これで良しっと」
彼女は柔らかく優しい笑顔で恵那に声をかける。
「……あ、ありがとうございます……」
恵那は小さな声でお礼を告げると、ようやく少し心に余裕が出来た。
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