プロローグ

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プロローグ

時は2019年、もはや熱帯雨林と化した日本、35度超えが当たり前の毎日は苦行でしかない。ニュースでは不安定な国際情勢を流し続け、自民党が政権を握り続け、戦争と平和なんて「へー」って微妙な感覚で耳を通り抜け、俺は俺の身近なことで手一杯。 熱帯夜もなんのそのな優秀極まりない自動清掃機能のついたエアコンを相棒に、フリーライターのお仕事をこなすのです。明日が締め切り。一分一秒が勝負、と思いきや、やる気が出なくて部屋でビールとナッツ。 寝室で先に休んでる恋人の事を思う。 寂しくないかな。あ、寂しいのは俺か。一人で晩酌でお仕事と睨めっこな、俺が寂しいのか。 ところで御両人、来年日本でオリンピックが開かれます。 オリンピックだよ!こんなに熱いのに死人はでねぇのかって心配にもなります。 でもオリンピック。全てに公正なオリンピック。全世界が注目するオリンピック。 その恩恵は数知れず。色んな所が潤ったり、変化したり。 得する人間がいるのです。その一人に入れて欲しい。 強く強く、そう願うのです。 金? そんなんじゃないよ。俺が求めてやまないのは。 ぶっちゃけた話、民法改正です。日本は宗教も自由だし、着る物だって仕事だって自由です。まさに自由の国。そう思うでしょう? でも実は自由から正反対の、古めかしい法律があるのです。 男は女と結婚すべき。 今の時代、男同士だって女同士だって、愛だって恋だって自由にしてるししたい! なのに、民法では男は女と、女は男と、結婚すべきなんだって。 笑っちゃうよね? なにが自由の国だよ。どこが自由よ。こんな不自由ってない。 まぁ要するに俺は男で、寝室で眠る恋人も男なわけですよ。 もう四年、一緒に暮らしてる。キスだってそれ以上のことだってしてる。 事実婚だよ。なのに結婚ができない。 しかぁし、諸君!! 絶望するにはまだ早い。 今年、もうすぐオリンピック! 民法改正するなら、このタイミングしかないっしょ。 インターネットでそういう運動にも参加して、今か今かと待っています。民法改正! 今しないで何時する!日本、先進国でしょ、頑張って!! さて、これはそんな切実な願い持った、俺、小田切拓海(28)と、その恋人の新居愛夢(21)の、愛の物語である。大事なことなのでもう一回言っておく。『愛』の物語なのである。他人から見たら些細な戯言みたいな物語でも、本人達にとっては全てが一大事、大切な傷であり、愛であり、宝物なのです。 最後には虹色の涙を。 一緒に流してください。それは、くだらなくて思わず笑って流れる涙かもしれないけど。 あなたを泣かすと決めたからには、小田切拓海、そこそこに頑張ります。 嗤う準備は万端ですか?お嬢さん、お兄さん、お父さん、お母さん、お爺さんにおばあさん。そこの赤ちゃんも。 二人の日常を、事件を、嗤って、笑って、微笑って、ちょっとしんみりしたりして。 愉しんで貰えたら、これ以上の幸せはないのです。 前置きが長くなったね。では始めましょう。 それでは『虹色ティアドロップ』、少女マンガかよ!って突っ込まれそうなタイトルで、恥ずかし気も無くおっぱじめます!物語の始まり始まり。
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