【キオクノカケラ】

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空はかぎりなくあおぞらで、 わたしたちが、 泣いたあの日と 同じ空。 その空に、 きれいな放物線を描いて きれいなアーチ型の ピンクと白のブーケが 飛んでくる。 迷わず、 まっすぐ、 手を伸ばしたら、 わたしの手の中に、 そのブーケが やってきた。 わたしの廻りで歓声があがる。 「あんな予告されたら、 手が出せないじゃん!」 「ひなみ、やってくれたわ!」 「やまちゃーん!おめでと!」 みんなの声が響くけど、 わたしの中で、 時がとまる。 ない。 あの色の花がない。 顔をあげて、先輩を見た。
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