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【キオクノカケラ】
清々しく晴れ渡る空が、
眩しかった。
今日、先輩が結婚する。
マーメイドラインの
綺麗なドレス。
緩やかに編み上げた漆黒の黒髪に
さりげなく、
添えられたティアラ。
美しいピンクパールの
ネックレス。
「せんぱい、きれい。」
「ありがと。」
弾ける笑顔も極上だ。
過去のせつなかった恋愛も、
全部全部、リセットするくらいの
しあわせオーラ。
やだ。
わたしが泣いちゃう!
「えー、なんで、
先に泣いちゃうの?」
と、ミラーの前にあった
ティッシュを箱ごと、
渡してくれるのも、
先輩らしくて、
泣きながら笑えた。
私たちは、
同じ時期に、
ちょっと辛めの恋をした。
なんでだか、
ほんとに不思議なくらい偶然で、
同じ時期に
彼と出会い、
彼のことで悩み、
彼とのお別れの進行状況が
重なっていて、
ある日、仕事の休憩時間に
号泣していたら、
先輩もその場所で号泣していて、
ふたりで、一緒に
何も話さずに
ただただ泣き続けた。
それが、先輩とのつながりだ。
その先輩が、
今日、
その彼ではないヒトと結ばれる。
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