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「エバ! やっと見つけた〜。うわっ!?」
アダムはエバのところへ駆け寄ろうとしたが、途中、蔓状の魔植物がアダムの両手を掴み、動きを阻んだ。
「邪魔しないでよ〜」
アダムは魔法で蔓をほどくが、別の蔓がアダムの足に絡まっていた。
魔力量が多いアダムは、魔植物にいたずらされやすい体質だ。
「ブッ」
その様子を見ていたエバは、笑いを堪えきれずに吹き出す。
「アダム、だらしないよ〜」
「エバ〜、見てないで助けてよ〜」
「あー、ごめん。疲れて休憩してるんだ〜」
「それはないよ〜」
ようやく魔植物の拘束から脱したアダムは、エバの隣に座る。
「さっきは、ごめんね……。リリスには強く言っておいたから。僕たちは恋人だから邪魔はしないでって!」
その言葉でエバの怒りや嫉妬は消えてしまう。
「エバ、今日は何の日か覚えてる?」
「ん〜? 何の日?」
もちろんわかっていたが、エバはわざと知らないフリをした。
「エバ! そんな悲しいこと言わないでよ〜」
餌をもらい損ねた子犬のような表情を浮かべたアダムを見て、エバは申し訳なくなる。
そんなアダムが可愛くて、ついつい意地悪してしまうのがエバの悪い癖だった。
「うーそっ! 覚えてるよ! 私たちが恋人になって3年だよね! しかも、私の誕生日!」
「そうだよ! エバって意地悪だよねー」
アダムは口をとがらせていた。
「だって、アダムの反応が可愛いから」
アダムはポケットの中をゴソゴソと探り出し、何か握った手をエバに差し出す。
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