32人が本棚に入れています
本棚に追加
「エバ、エバ……もう少し頑張って。愛してる……」
アダムはリリスの言葉を無視し、エバに声をかけ続けていた。
「アダム! 何をしているの! 早く着替えに戻るわよ!」
リリスはエバが命の危機にあることを気にもとめていなかった。
「黙れ! 誰か! 早く医者を呼んでくれ!」
アダムはリリスに憤慨し、再び周りに助けを求めた。
「汚いわ、血だらけじゃない……。アダム、もう手遅れよ! みなさん、医者は必要なくってよ。執事、アダムを早く馬車に乗せて! 結婚式に遅れるわ!」
執事たちは耳を疑った。
誰が見ても、それができるような状況ではない。
アダムは魔法でエバの出血を抑えており、それを妨害すればエバは死んでしまうことは明白だ。
「早く! 医者はまだなのか!」
アダムは必死に叫んでいた。
「執事! 早くなさい! 早くしないと、あんた達の家族を痛い目に合わすわよ! ジョーゼルカ家に逆らう気?」
執事たちの顔は真っ青になった。
逆らえない立場を呪いながら、執事は苦渋の決断をする……。
「ア、アダム様……。誠に心苦しいのですが……」
2人の執事はアダムの腕を掴み、エバをゆっくり離してその場に寝かせる。
「なにをするんだ!」
執事たちは暴れるアダムを馬車へ引きずっていった。
「離してくれ! エバー! エバー!!!」
最初のコメントを投稿しよう!