33人が本棚に入れています
本棚に追加
*
2人が訪れたパン屋は噂通りの人気店で、店先には列ができていた。
「うわ〜、結構待つかもね」
「そうですね。買うだけですし、待つのは10分くらいじゃないですか?」
「目当てのサンドイッチが売り切れそうで心配だよ〜」
「そうですね……」
アリスの顔にも焦りの色が見えていた。
出て行くお客さんは皆、袋いっぱいに買い込んでいるので、不安を増長させる。
「——アリス〜、お腹が空きすぎて辛いよ〜」
列に並んでいる間にパンの香ばしい香りが漂ってくるので、胃が刺激されっぱなしだ。
今まさに、空腹の限界に達しようとしていた。
「あと2人待てば店に入れますよ? それくらい我慢して下さい!」
「ぶ〜」
「私だってお腹がすいてるんですから〜」
「ア〜リス〜!」
エリーゼは空腹を紛らすため、アリスの頭を執拗に撫でたりして絡み始めた。
「う〜、やめてください〜」
「あ! 店内に入れるよ!」
アリスはその言葉を聞くなり、エリーゼの手を振りほどき、逃げるように店内へ。
——もう少しアリスのサラサラの髪を触っていたかったのに……。
エリーゼは頬を唇を突き出したまま入店した。
『——魚のサンドイッチが出来立てだよ〜! よかったら買ってくださいな〜!』
店内に入ると、店員の女性が魅力的な情報を叫んでいた。
エリーゼは慌ててサンドイッチが置かれた場所へ。
アリスも遅れてその場所にたどり着く。
「アリス〜! 2個ゲットしたよ〜!」
「よかったです〜。待ったかいがありましたね!」
「うん!」
2人は自家製ジャムが練りこまれたパンなどを購入し、家へ戻った。
最初のコメントを投稿しよう!