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「アリスは、きっとアダムと食の話で盛り上がるね」
「え?」
アリスは口をもごもごしながら首を傾ける。
「アダムは食通だから、結構こだわりがあるの。アリスがさっきサンドイッチを褒めたみたいなことをいつも言ってるんだよ〜」
「そうなんですね。お話しするのが楽しみです! 姉さんは食に関して無頓着で話しがいがありませんでしたから……。勉強と魔植物以外のことは本当に酷いですもん」
——アリスの私に対する評価って、かなりひどい気がする……。
「そ、そうかな〜?」
「そうですよ? お洋服なども、もっと気を使って下さいね? しばらく男性として振舞っていましたから、女性としていろいろな面で欠如しています。そのままだとアダム兄さんに嫌われます」
「え……」
エリーゼは顔を青くする。
——確かに自覚はあったけど、そこまで言われるなんて……。でも、アダムは私のこと可愛いって言ってくれるもん!
「大丈夫です。私の言った通りにして頂ければ、素敵な女性になれますから! 綺麗って言われたいですよね?」
「うん……」
エリーゼは照れながら返事をした。
——アダムに綺麗って言われたらどれだけ嬉しいか。『愛してる』だけでも十分嬉しいけど、外見で褒められるのも嬉しいに決まってる!
その後の数ヶ月間、エリーゼは美しさに磨きをかけ、アリスはイタリ魔法大学院の入学試験勉強に明け暮れた。
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