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ちなみに、アリスは落ち込んで泣いているわけではない。
それは、『補欠学生』として合格していたからだ。
補欠学生は無給、かつ、寮に入れない学生を指す。
しかし、授業料なしで正規学生と同じ授業を受けられるので、何の問題もない。
準備期間が短かったにもかかわらず、補欠合格できたことに2人は大満足していた。
進級試験で高得点をとれば正規学生に上がれるチャンスがあるので、そこで頑張ればいいだけのこと。
賢くて魔法能力が高いアリスなら、その夢も叶うだろう、とエリーゼは考えていた。
「——アリス、今日はお祝いだよ! アリスが前から行きたいって言ってたレストランを予約しているから、楽しみにしててね!」
アリスは満面の笑みを浮かべる。
「ありがとうございます! そうだ、明日からは私が先生になりますので、覚悟していてくださいね!」
「お願いします!」
エリーゼはアリスに深く一礼した。
1週間後にアダムが移住してくる予定なので、エリーゼはアリスから料理を教えてもらうことになっていた。
服装や所作は女性らしくなってきているが、料理がまだ壊滅的な状況なのは変わらない。
せめて料理の手伝いは軽くできるくらいにはなっておきたい——それがエリーゼの目標だった。
——だって、アダムと並んで料理とかしたいじゃない?
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