2 衝撃の目覚め

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 エバは悲鳴を上げずにはいられなかった。  恐怖で後ろへ仰け反り、躓いてしまう。 「——お嬢様!? いかがなさいましたか!?」  幼い侍女は慌てて部屋に駆け込んできた。 「お嬢様?」  床にへたり込んだエバの前で侍女は膝をつき、心配そうに様子を伺う。 「…………」  錯乱状態のエバにその問いかけは聞こえなかった。  体を震わせ、その場で呆然としている。    ——どうして!?  そんな言葉がずっとエバの頭の中を駆け巡っていた。 「——リリスお嬢様?」 「やっ……」  ——気持ち悪い!  エバは無意識に顔に爪を立てて傷つけ始めた。 「リリスお嬢様!? おやめください!」  侍女は慌ててエバの腕を掴んで止めようとする。 「いやっ! 気持ち悪い!」  ——その名前で呼ぶのはやめて! 穢らわしい!  エバが転生した体は、エバがこの世で1番憎い女『リリス・ジョーゼルカ』の体だった。
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