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そんちょうさん
ニコっと、且つどこか悲しそうに彼女はそう言った。
「…はるひ?」
「ええ。秋葉から聞いてないかしら」
「あきはのお友達のはるひさん?」
「そうだけど」
「…ごめんなさい。あきはの友達っていうからせめて30歳くらいなのかと…」
「色々失礼ね。ピチピチの45歳よ」
「ぴち…?」
ピチピチの意味を思い出し直してみた。
やっぱり程遠い気が。
「コスモス。世の中にはね、
はいそうですねーって言っておいたほうが
いいこともあるの」
「…むずかしい」
よくわからないことに頭を悩ませていると
「そうだ。ちょっとこっちきてみなさい」
「ん…?」
キョウチクトウなどが咲いてる花壇を超えると、またもや様々な色の花達を見つけた。
「これって…」
秋葉から教えてもらった彼女が一番好きな花。
「そ、コスモス」
きれい。かわいい。しっかりもの。
花にそんな感情を抱く秋葉の気持ちは全く理解できなかったが、今なら少しわかる気がする。
「秋葉におみやげ」
そう言って私がその花を摘もうとすると
「あっ!だめ!」
春陽が、がしっ!と力強く私の腕を掴んだ。
「…?ごめんなさい?」
「えっ、あ、こちらこそごめなさいね。
この花は村の皆が心安らぐ場所としてるのよ。皆が皆花を摘んじゃったら此処は野原になってしまうわ」
「…配慮が足りなかった。ごめん」
「いえ、誰でも間違えるものよ。
間違いを正すために人間は群れで生活しているのだから」
「…農作業を効率良くするため、って秋葉は言ってた」
「…要は助け合いましょってことよ」
やはり人間は、色々とフクザツそうだ。
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