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「そこからは、記憶が断片的なんです。かなり酔っていたから」
「公園には、いつ行ったんだい」加茂刑事が熱心に手帳にボールペンを走らせる。
「スナックで終電の時間が過ぎたから・・・ そう。店を出たのは、1いや2時はまわっていたと思います」
「かなり長居したね。スナックに」
片瀬刑事が僕を見つけ続ける。
「結局、もうちょっと、もう少しと高菜さんの悪い癖がでて帰ることが出来なかったんです」
身振り手振りで二人の刑事に語りかけた。
「高菜さんって方は?」
「ステラに置いてきました。ママが酔い潰れてカウンターから動かない高菜さんを、放っておこうと」
片瀬刑事、加茂が顔を見合わせる。
「なんで、君だけ出たの?」
「居づらかったからだと・・・今は思います。高菜さんに手を焼く、ママを見て」
「そうか。公園に真っ直ぐ向かっていた?スナックから20分くらいあると思うのだけど」
片瀬刑事が身を乗り出した。
「公園に行こうと思ってたのかは、分かりません。ただ飲み物、アルコール以外の飲み物を求めていたような」
そう、吐き気はなかったが気分が最悪だったのを思い出した。
「フラフラと行き着いた先が公園だったと」
「はあ。だと、思うんですが」
「スナックを出てから、誰かと会った?」
一瞬、片瀬刑事の語尾が強く、圧に身を引いてしまった。
「分からないです。分かりません」
「そう。そうか」加茂がペンをしまった。
「酔い潰れて、ベンチで寝てしまったと思うのですが、、、朝いや昼頃に目覚めて日差しがキツくベンチを、日陰のベンチに移動した後、バタバタと足音が遠くていくと思ったら既に右脇腹にナイフが刺さってました」
「ベンチを移動して、いきなりか」片瀬刑事が上を見上げる。
「はい、予兆は何も、無かったです。起きて言葉も発してないうちに」
そう、キツい日差しだけは覚えている。
「その後は、君は前に倒れ込み。直ぐ側にいた若い男性が通報している」と手帳を見ながら加茂刑事が言った。
ーー若い男性?
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