小蝿の晴天

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入院して10日が経った。 右脇の痛みは和らぎ、縫合を行っていた箇所を昨日に抜糸をした。傷口は残ってしまうが、段々と小さくなっていき目立たなくなるだろうと言われた。傷口の経過はよく化膿もせずに上手く治癒に向かっていると医師に言われた。伊澤さんが言う通り、刺したままの状態で搬送されてきたことが幸いだったらしい。認めたくないが、初めてから殺傷するつもりは低かったのではないかと、刑事、医師の見解だった。 後、3日もすれば退院になるだろうと医師に付け加えられた。 午後1時の医師の診断が終わり、一息ついていた頃に病室のドアが開いた。 ドアを開けたのは、高倉理沙(たかくらりさ)だった。そして、遅れて高菜さんが病室に入ってきた。 「お、おお。元気か?」と高菜さんは済まなそうに頭を低く下げながら、病室に足を踏み入れる。振り返り、先に入っていた高倉さんが高菜さんを見て「高菜さん、大丈夫?」と笑いを堪えずに吹き出した。 「いやぁ、さっき話したじゃない。良太に申し訳が立たなくて・・・直ぐに顔を出したかったけど、怒ってるんじゃないかと中々 、顔を出せなかったんだ。済まない・・・すみません。柴田君」 「柴田君?、そんな呼ばれ方は何年ぶりでしょうか・・・怒ってないですよ。高菜さん」 「本当に、マジで。良かった。やっぱり、きっかけは俺だから・・・済まないなぁと反省ですよ」 高菜さんは安心しきり、病室のソファに腰を掛けた。 「高菜さんって反省なんて、するんだ。ウケる」と高倉が高菜さんに指を指し笑った。
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