NPO法事[ぴーす]

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NPO法事[ぴーす]

入院していた期間に一度、雨が降った。夕立にちかく、通り雨のように直ぐに上がったが雨量はそこそこあったようだ。 2週間空けた部屋は、何とも言えない重い匂いがした。高菜さんと飲みに行く前に、キッチンの生ゴミを片付けて良かったとホッとした。生ゴミに蝿が集るようでは、あの日を思い出してしまいそうになる。部屋の換気を行うのに、窓という窓を開けた。 ベランダをも開け、ベランダに掛けていた洗濯物が斜めに歪んでいるのが見えた。白いTシャツに限ってはベランダの床に落ちている。Tシャツを拾い、洗濯物を集めて再度、洗濯機をまわした。 時刻は15時30分を、少し過ぎていた。 会社に電話を掛ける。 「こちら〇〇工業株式会社、追浜工場です」 「社員の柴田良太です」 久々の会社への電話、声が少し震えた。 「柴田君?」 聞き覚えある声だ。 「まさか、高倉さん?」 「そう。どうしたの?」 会社に電話はいつも、何処と無く緊張をしたが、高倉さんの声で直ぐに解れた。 「退院したので、色々と報告をと・・・係長の林さんは居ますか?」 「今は居ないわ。部長の新田さんに繋ぐわね」 「あ、はい」 内線に切り替わる。部長の新田さんなんて、会話もした事がなかった。 「お電話代わりました。部長の新田です」 「長く欠勤をして申し訳ありません。今日、退院しました。3、5日後から勤務が行えますが・・・どう致しましょうか?」 ー一瞬、時が止まる。新田部長は言葉に詰まったようだった。 「そうか、それは良かった。勤務については、そうだな調整して電話を掛ける。明日にでもね。林には伝えておくから」 「ご心配をお掛けしました。ありがとうございます」 「いえいえ、大変だったね。ゆっくり休んでね」と電話は切れた。 入院中に20人近く、LINEが入っていた。 普段は僕に連絡なんて、10日も入らないことがざらなのに。
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