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翌日に工場の林係長から電話が入った。
事件後の疲労感、傷口の痛みも残っているのだろうと心配してもらい、工場への出勤は退院日から10日後になった。なので後1週間の休みとなる。職場に迷惑をかけているのは分かっているが、不可抗力のもと自分の落ち度じゃないからと自分に言い聞かせていた。
数分後に伊澤さんから着信がある。
「聞いたわ。あと1週間は暇らしいわね。でも 私との話は早い方が良いのでしょう?」
「ええ、もちろん」
低くしっかりした声を出せた。病棟にいた頃から決意をしていた、この事柄は早く済ませると。
「わかったわ。明日の午後17時に、人のある程度いる場所・・・そのほうが良いかもね。貴方にとっては・・・黄金町に良い店があるわ。そうね、そこにしましょう。店の名は[グランデグリル]ブラジル料理のお店よ。楽しみして頂戴]
ーー楽しみ?
「ーーはい」一瞬、返事が遅れた。
京急杉田駅から洋光台、田中方面に向かい徒歩5分にあるアパートに5年住んでいる。アパートの間取りは6畳に8畳とキッチン、バストイレ付き。割と間取りは広く高台にあって眺めが良く、適度に緑に囲まれている。木造28年の家賃6万のアパートだった。
時刻は17時になる。窓を開ける度に夏が終わってしまう。蝉の鳴き声が前より少なく感じ日が短くなった。
今はーー退院日が9月2日、今日は9月4日になっていた。
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