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黄金町に降り立ったのは16時30を過ぎていた。都会というか神奈川、横浜の下町。歓楽街が近くにあることから、あまり足を運んだ事は無かった。
ため息ばかりが出て、足が重く逃げ出したい。事前にネットから待ち合わせ店の場所をある程度、検索してきたが不安が募るばかりだった。黄金町の駅前から赤門町方面に向かって歩く、人通りはまばらに年配の男性、女性が多く歩いていた。
ネットで店を検索して、店内画像や料理メニューを見て雰囲気を掴んだ。店内は明るく、曜日によってはブラジリアンダンスを店内で披露するなど陽気な雰囲気が伝わってくる。肉の食べ放題いわいる[シェラスコ]という串に肉を刺したものを店員が、肉を切り分けながら提供するスタイルらしい。普段なら食べた事ない料理、行ったことのない店の雰囲気に心が弾むだろうが、依然として足取りは重かった。
生暖かい風が何度か頬を撫でる。喉が渇いていった。
店の前に着いたのは5分前、駅から10分くらいの距離を20分を超えて歩いてきたらしい。
店の重苦しい木のドアに圧倒されながらも、ドアの横に広がる、外からでも店内を見渡せるほどの開放的な客席からの大きな窓を見て、安心感にほっと胸を撫で下ろす。
深呼吸を二度とした。
身体一杯に空気を貯めて、木のドアに手をかけた。
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